昼間は平気なのに、さて寝ましょうかねってタイミングになると出始める咳。なかなか眠りにつく事が出来ずに睡眠不足になってしまうと、身体も心も休まらず日常生活にも支障が出てしまいます。
咳が止まらない 夜、眠れない原因は?
夜になると咳が出る原因としてはこのような事が考えられます。
自律神経の影響
夜になると咳が出るのは、自律神経が関係していると考えられています。日中活動している時には「交感神経」と呼ばれる神経が優位に働いています。交感神経は身体を興奮させる働きをしています。
具体的には、身体が活動しやすい様に脈拍をあげたり、瞳孔を拡げたりなどがあります。この時、咳に大きく関係のある部分の気管は広がっています。身体を動かす為に必要な酸素を多く取り入れようとしている為です。
逆に身体を休めたり、リラックスしている時には「副交感神経」が優位に働きます。副交感神経は身体を休める働きをしています。この時、気管は狭くなり過敏になっています。身体を活動的に動かす必要が無いので、酸素を多く取り入れる必要もありません。ウィルスや細菌から身体を守る方を優先する為です。
この為に夜になると咳が出やすいのです。
アレルギー反応
布団にはダニがついていたり、ほこりがついていたりします。眠ろうと布団に入った時にそれらを吸ってしまう事で、アレルギー反応が起きて咳の出る原因になります。
そば殻の枕を使っている場合、そばアレルギーがあると咳が止まらなくなる事もあります。自分にそばアレルギーがある事を知らずに使ってしまっているかも知れません。
風邪など感染症の疑いが無いのに咳だけが止まらない場合は、何らかのアレルギー反応の可能性が高いといえます。
仰向けに寝ている
眠る時に仰向けに寝てしまうと、狭くなっている気管が更に圧迫された状態になってしまいます。鼻水が出ている場合には、鼻水が喉にたまってしまい咳が出る原因になります。鼻づまりになっていると口呼吸になり喉を乾燥させてしまっている事も考えられます。
咳が止まらない夜 病気なのか?
夜になると咳が止まらないという症状がどれほど続いているか。この期間でに考えられる病気が変わります。
3週間以内の場合
続いている期間が3週間以内の場合の咳は、「急性咳嗽」(きゅうせいがいそう)と呼ばれます。咳のほかにくしゃみや発熱、鼻づまりなどがある。いわゆる風邪のような症状がある。黄色や緑色に近い痰が出る。症状がだんだん軽くなってきているなという場合はウィルス(コロナウィルス、アデノウィルス、インフルエンザウィルスなど)による感染性の咳の病気が考えられます。
3週間~8週間以上
続いている期間が8週間までの咳は「遷延性咳嗽」(せんえんせいがいそう)、8週間以上続くと「慢性咳嗽」(まんせいがいそう)と呼ばれます。3週間以上咳が続いている場合には、胸のX線画像やCTスキャン、肺機能や血液の検査が必要となります。
咳喘息を含めた喘息
咳喘息というのは、聞きなれない言葉かも知れません。喘息の様に息がゼーゼーしたり、ヒューヒューしたりせずに、咳だけが出る症状の喘息の事です。痰が出る事は少なく、熱も出ません。喘息の一番軽症な状態、本格的な喘息になる前の段階と考えられています。治療には抗ヒスタミンや吸入ステロイドが用いられます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDと呼ばれている慢性閉塞性肺疾患とは、タバコの煙などの有害物質が原因で肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気の事です。日本ではCOPDの原因の90%以上がタバコが原因で起こるといわれています。
有害物質により長期に渡り肺が刺激を受け続けると、細い気管支が炎症を起こし咳が多くなります。症状が進んでいくと肺気腫を起こし、空気を上手く吐き出す事が出来ない様になってしまい息切れする様になってしまいます。
治療にはまずは禁煙する事。気管支拡張薬や吸入ステロイドが用いられます。
アトピー性咳嗽
ほこりやカビ、動物の毛、花粉などにアレルギー反応を起こす事で咳が出ます。最近では黄砂やPM2.5などもアレルギー反応を起こす原因になるといわれています。
症状としては喉や気管がイガイガとする、痰のからまない乾いた咳が出るなどです。咳が出る時間は就寝時、深夜から早朝、起床時、早朝の順に多いと報告されています。咳が出るきっかけとして空気の温度変化、会話、受動喫煙、運動、香水の臭いなどが多いといった特徴があります。
喘息以外のアトピー疾患(アトピー性皮膚炎)などになった事がある、親や兄弟にアトピー疾患がある場合にはアトピー性咳嗽を疑う必要があります。
治療には抗アレルギー薬、吸入ステロイドが用いられます。
副鼻腔気管支症候群
副鼻腔炎があると睡眠中に鼻水が喉の方に降り、気管支に入って気管支炎を起こす原因になります。また、鼻づまりの為に口呼吸になってしまい加湿、加温、清浄化されない空気を吸う事で気管支炎を誘発します。
慢性副鼻腔炎に慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎(はんさいきかんしえん)などが合併した病気が副鼻腔気管支症候群です。慢性副鼻腔炎(蓄のう症)の約5%に合併して起きるといわれています。
治療には去痰薬、抗菌薬が用いられます。内視鏡による副鼻腔の手術が必要な場合もあります。
結核や肺がん
咳が長く続いている場合は結核や肺がんの可能性もあります。結核は他の人に感染させてしまう可能性もありますし、肺がんもそうですが最悪死んでしまう事もある病気です。
たかが咳だと思わず長く咳が続いている場合は病院で受診する事を強くおすすめします。
まずは病院に行きましょう。
咳が止まらない夜 対処どうすればいい?
原因が風邪のような感染性のモノであったり、アレルギーが原因の場合は家庭で出来る事で症状を和らげる事が出来ます。
アレルギーの原因を取り除く
アレルギーが原因であった場合は、部屋や布団を清潔に保つ事に限ります。部屋を掃除してほこりを減らす。布団を干したり、掃除機をかけるなどして、布団のほこりやダニなどを取り除く。稀にですが、部屋で観葉植物を育てている場合、その鉢や水の受け皿、土などがカビの温床になっていて、そのカビがアレルギーの原因になっている事もあるようです。
マスクをして寝る
マスクをして眠る事で、ほこりなどを吸ってしまう事を防ぐ事が出来ます。また鼻や口の周辺を加湿する事も出来き、乾燥を防ぐ効果もあります。
マスクをして眠るのは息苦しい場合は、加湿器を使って部屋の湿度を保つ様に気を付けましょう。
また上半身を高くして眠る事で気管が圧迫される事や、鼻水が喉にたまってしまうのを防ぐ事が出来ます。布団の下にタオルなどを引いて頭に行くにしたがい高くなって行く様に調節しましょう。頭だけを高くしてしまうと余計に苦しくなってしまうので注意してください。
喫煙、飲酒をやめる
タバコは当然、煙によって、気管支や肺を刺激してしまう為ですが、飲酒はどうしてやめた方が良いのか。
酔っぱらって寝ているといびきをかいてしまう事があります、アルコールが筋肉を弛緩させてしまい気道が狭まっている為です。なので咳が出ている時に飲酒してしまうと症状を悪化させてしまう事になります。
水分を取る
乾燥は咳の症状を悪化させるので、水分をこまめに取るように心がけましょう。冷たいモノは気管を刺激して収縮させてしまうので、暖かいモノを飲むようにしましょう。
この事から紅茶や、生姜湯などにはちみつをスプーン1~2杯足して飲むがおすすめです。
まとめ
たかが咳だと思っていても重大な疾患が隠れている場合もあります。2週間経っても症状が変わらない、むしろ悪くなるという場合は、感染性の咳ではない可能性が高いので、すぐに病院に行きましょう。万が一結核で人に感染してしまっては、咳で眠りにくいうえに夢見まで悪くなってしまいます。