今までさして気にならなかった、パートナーの体臭。
これってワキガが原因の臭いなのか、加齢臭なのかちょっと判断が難しい。
このニオイがもしワキガの場合、治せるものなのでしょうか。
ワキガの原因 突然発症するものなの?
一般的にワキガと呼ばれている症状は、腋臭症といいます。
日本を含むアジア地域では、ワキガ体質の人は10人に1人と言われています。
そこからさらに、日本人やアジア地域で生活している人が不快に感じてしまう、腋臭症と呼ばれる体臭の人はさらに少なくなります。
腋臭症と書くとまるで、病気の様な印象を受けてしまいます。
しかし、腋臭症は体質であり国が違えば誰も気にしている人は居ません。
欧米では、およそ8~9割の人がワキガ体質と言われていて、腋臭症で悩んでいる人はほぼ居ないと言えます。
不快に感じてしまう臭いの原因は、アポクリン線という汗腺から出る成分です。
もう1つの汗腺であるエクリン腺から出る汗は、水分と塩分が主な成分である為ほぼ臭いがしません。
アポクリン腺から出る汗には脂質やタンパク質、糖質、アンモニアなどの成分含まれています。
これらの成分が皮膚表面に存在する常在菌により分解されることで、鼻につく独特の臭いが発生します。これに皮脂が混ざり合う事で臭いはさらに強くなってしまいます。
ワキガ体質とはこのアポクリン腺の数が多かったり、働きが活発な体質の事です。
アポクリン腺は生まれた時から数が決まっていて、成長途中で増える事はありません。
今まで気にならなかったパートナーの臭いが気になりだしたのは、加齢による体質の変化や食生活によりアポクリン腺が活発になっている事などが考えられます。
ワキガ体質かどうかを見分ける目安としては
- 耳アカがベタベタしていないか
- 洋服のワキ部分に黄ばんだシミができやすいか
- ワキ毛に白い粉がつくか
- 両親のどちらか、もしくは両方が腋臭症か
などがあります。
check アポクリン腺は耳の中にも多い為にワキガ体質の場合、耳アカにアポクリン腺から出る成分がつく事でベタベタした状態になります。耳アカが粉っぽいという体験がないという場合、ワキガの可能性があります。
check 洋服に黄ばんだシミが出来るのも、アポクリン腺から出る成分の為です。
間違えてはいけないのが、制汗剤を使用しているとその成分が汗と混じってシミになってしまう事があります。
制汗剤を使わない状態でシミができるようなら、ワキガの可能性があります。
check ワキ毛につく白い粉も同様に、アポクリン腺からの汗が原因です。
アポクリン腺から出る成分が結晶となりワキ毛に残ります。
この現象が起きる場合は、かなりの確度で腋臭症です。
check ワキガ体質は30%ほどの確率で遺伝すると言われています。
ワキガを予防するために
清潔に保つ
ワキガの不快に感じてしまう臭いを抑えるには、やはり清潔に保つ事が1番大事です。
ワキガの症状が軽い場合は、清潔を心がけるだけでかなりの効果が出る事もあります。
出掛ける前にシャワーを浴びる、汗をかいたら汗ふきシートなどでこまめに拭き取る。
汗を拭き取る時は、汗をかいてすぐに拭き取ってしまうと体温が下がらず、さらに汗が出るという悪循環になる事もあります。
体温が下がってから拭く様にしましょう。
女性は普段から気をつけている人が多いと思われますが、ワキ毛があると雑菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
清潔に保つ為にもワキ毛はこまめに処理しましょう。
制汗剤の使用も効果的です。症状が軽い場合、制汗剤を使用する事でかなり臭いが抑えられます。
一般的に薬局などで売られている制汗剤を使ってもあまり効果が無かったという人でも、ワキガ専用の制汗剤を使用したところ、かなりの効果があったとの声もありました。
食事に気をつける
食生活の見直しも大事です。
油っぽいものや肉、動物性たんぱく質(バター、チーズ、牛乳)の摂り過ぎは、アポクリン腺を刺激し活動を活発にさせます。
アポクリン腺から出る汗を減らす為には野菜や果物、大豆などの植物性たんぱく質を多く摂るように心がけましょう。
もちろんバランスが大事なので、それだけを食べれば良いという訳ではありません。
ストレスを溜めない
アポクリン腺の活動は精神面でも変化します。
極度に緊張したり、焦ったりした時に汗が出る事があります。
あの汗はアポクリン腺からでる汗です。
マンガでいうと「賭博黙示録カイジ」の汗は完全にアポクリン腺から出る汗です。
イライラしていたり、何か不安や不満がある時はアポクリン腺が活発な状態になっています。
なので精神的なストレスを溜めない事も大切です。
ワキガを治す方法
ワキガは体質であり、病気では無いので治すというのは語弊があるかも知れませんが、ここでは便宜的に治す、治療という言葉を使います。
症状の状態を知る為にも一度病院で診察を受けましょう。
そこで先生と相談しながら、これからどうしていくのが良いのかを考えましょう。
軽い症状
軽い症状の場合は、薬で汗を抑える方法が取られる事が多い様です。
塗り薬では、塩化アルミニウム液が処方され汗や臭いの気になる部分に塗ります。
飲み薬では臭化プロバンテリン(プロバンサイン)や、精神面や自律神経にはたらきかける飲み薬が処方されます。
副作用もある為、長期間飲み続ける事を目的とはしていません。
あくまで汗が多い時に使用する薬です。
市販されている薬では、汗をかきにくい体質に変える漢方薬があります。
柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という名前で販売されています。
症状が軽いので、清潔に保つ事で臭いを抑えられると先生が判断した場合この様な方法を取ります。
軽度~中度の症状
手術が必要な程では無い中度までの症状では、ボトックス注射や電気凝固法が取られる事が多い様です。
ボトックス注射
ボトックス注射はボツリヌス菌の毒をワキの下に注射し、汗を出す時の伝達物質の分泌を抑えることで一時的に汗の量を減らします。
主にエクリン腺の汗に働きかけるので、多汗症とワキガを併発していたり不安などメンタルの影響で汗が出る場合に効果的です。
汗の量を減らす事で不快な臭いを抑えます。
電気凝固法
電気凝固法は毛穴に電気針を刺し、そこに高周波電流を通してワキの脱毛、アポクリン腺と皮脂腺の破壊を行います。ワキガの治療と脱毛を一緒に行うことができます。
再発の可能性もありますが、比較的安全な方法です。
中度から重度の症状
アポクリン腺を除去しなければならない、中度から重度の症状の場合は手術が必要になります。
剪除法(せんじょほう)
剪除法(せんじょほう)ではワキの下を切開しアポクリン腺を1つずつ取り除いていきます。
高い効率でアポクリン腺を除去する事が出来ますが3~5㎝程の傷跡が残ります。
入院の必要はありませんが傷口が落ち着くまで1週間程、圧迫ガーゼで抑える必要があります。
皮下組織吸引法
皮下組織吸引方ではワキの下に小さな穴を開け、そこから細い管(カニューレ)を通してアポクリン腺やエクリン腺、皮脂腺をかき出しながら吸い取ります。
剪除法より傷口が目立たたず、広い範囲に効果が望む事が出来ますが、アポクリン腺の完全除去は困難な事が多くアポクリン腺の根の部分が残っていると再発する可能性があります。
超音波吸引法
皮下組織吸引法を基にした方法です。先端に超音波を発生させ、その熱でアポクリン腺を破壊しながら吸引します。
全てのアポクリン腺を取り除くことは難しいと言われ、技術によって火傷や合併症のリスクがあります。
皮下組織削除法
カミソリの刃と皮膚を押さえるローラーを組み合わせた専用器具を使います。
カミソリ部分で皮下組織ごと削り、アポクリン腺やエクリン腺を除去します。傷口は小さく高い効果を期待できますが、回復まで時間がかかります。
また皮膚が壊死してしまうリスクもあり、施術する医師の技術が求められます。
どの方法も手術である以上、一定のリスクがあるという事は認識しておきましょう。
再発するリスクがある場合、1度の手術にかかる費用は15~30万程が相場といわれています。もし再発してしまった場合、余程のお金持ちで無い限りそう何度も簡単に出せる金額では無いと思います。
まとめ
どうしても臭いが気になる場合には、症状の程度を把握する為にも1度診察を受けましょう。
臭いを指摘されるのは、誰だってやはりショックを受けてしまうモノです。
臭いの事を相手に伝える場合は、愛の言葉も忘れずに。